
2007年の秋頃に有志が集まり、ムラタセイサク君®を進化させるプロジェクトが始まりました。ディスカッションを重ねる中、1つの車輪の上でバランスをとるウィリーの原理実験をしてみたのですが、セイサク君に用いている制御技術を応用させることで一輪走行が可能であることがわかりました。
一方、広報部では社内外から「セイサク君の女の子バージョンは作らないの?」、「Murata BoyはいるのになぜMurata Girlはいないの?」という質問やリクエストをたくさんもらっていたそうです。そこで、セイサク君イコール自転車のイメージが浸透しつつある今、新たに女の子のキャラクターで一輪車ロボットを作ってみることになりました。
今回のプロジェクトでは若手がチャレンジできる機会を作りたいと考えました。部内にはセイサク君に憧れて入社してきた社員もいて、新型ロボット開発に対するモチベーションがすごく高かった。自分たちの技術を思いきりアピールして世の中を驚かそう! という気持ちがひしひし伝わってきました。
また、美大出身でデザイン経験のある女性社員が何人かいることも分かったので、女性の観点でロボットをデザインしてもらおうと思いました。機構開発からボディのデザインまで社内でやってしまおうと考えたわけです。
プロジェクトリーダーとしては自由に議論できる雰囲気づくりを重視しました。開発者であれデザイン担当であれ思っていることは何でも言わないと、ね。
女性社員たちにはじめて新型ロボットのデザインを依頼したときはすごく驚かれました。「いきなり何を言い出すんだ?」みたいな反応で・・・。(苦笑) でもこのプロジェクトの目的や、今まで私たちがどういう思いでセイサク君を作ってきたのかを説明すると前向きに考えてくれるようになりました。
はじめは3人で1つのデザインを考えてもらえれば、と思っていたのですが、デザインって「良いとこどり」ではなく自分の「思い」をカタチにするものなんですね。短期間でしたが3人それぞれがセイコちゃんのキャラクターやストーリーを考え、すごくまじめに3案作ってくれました。社内検討会で正式に彼女たちの案で作ることが決まったときは本当に嬉しかったですね。
セイサク君の左右にバランスをとる技術をそのまま前後の車輪にも応用展開すればうまくいくはず、と仮定しました。「ほんとにそれでできるのかな?」と疑問を持ちながら原理実験を何度も行い、うまくいくことを検証しました。
機構については比較的順調に開発できたといえますが、それでもボディを取り付け、初めて動いたときは一同湧き上がりました。自分たちのイメージ通り「一輪車でも立てるんだ」ということが証明できたので嬉しかったです。なにせ今まで誰も見たことのないロボットが目の前で動き出したわけですから。「みんな、見て見て! 」って感じでしたよ。笑
セイサク君やセイコちゃんの開発プロジェクトは、ムラタの技術をロボットというカタチで表現しています。今回は若手を迎え入れ、「ものづくりの楽しさ」の輪が拡がりました。このロボット開発プロジェクトを通して「ものづくりの楽しさ」をもっと拡げていければいいなと思っています。新しい発想でどんどんセイサク君ファミリーが出てくるのも面白いかもしれないですね。

私は2005年に発表したセイサク君の開発に携わっていたこともあり、ノウハウを知るメンバーということでプロジェクトに参加しました。
担当は制御全般です。ジャイロセンサで傾きを検知し、倒れないようにモータを制御するのですが、セイサク君は左右方向1軸だったの対し、セイコちゃんは前後・左右の2軸でバランスをとっています。
セイサク君の左右方向の制御を応用すれば前後もうまくバランスがとれるだろうと予測していました。心配だったのは、前後・左右の制御を組み合わせたときに、ねじれて倒れてしまうんじゃないかということ。ですが、そのねじれ力の発生を極力抑えるように機構を設計することで、ねじれずに一輪車のバランス制御を実現できました。
今回から加わったメンバーは特にモチベーションが高く、みんな「やるんだ!」という雰囲気だったので、思った以上にスムースに作業が進みました。デザイン担当として女性が3名が入ったことで全体の雰囲気も華やぎましたが、何より女性らしく丸みを帯びたデザインになったので、私たち男性だけではきっとできなかったかわいいロボットになったと思います。
いちばん嬉しかったのは、機構とボディが合体して実際に動いた瞬間です。プロトタイプで何度も確認はしていましたが、完成にいちばん近い状態で動いたときは正直ホッとしました。「あぁ、間違ってなかったんだ」と。
まだヨチヨチ歩きの状態でときどき倒れることもあります。CEATEC2008*の本番まであと3週間。それまでになんとか安定させます。
また、少し先の目標になりますが、体の向きをキュッと変えることができたり、思いどおりの方向に行けるようにしたい。セイサク君とタイアップした動きなんかもできれば面白いですね。
*CEATEC:映像・情報通信の国際展示会

ムラタに入社が決まった2005年の秋にセイサク君が発表されました。本物のセイサク君をCEATECの会場で見たときはすごく感動しました。「ロボット開発に携わりたいなぁ」と漠然と思っていたところ、翌春配属された部署はなんとセイサク君を開発した部署!運命を感じましたね。
今回、新型ロボット開発メンバーの募集があったときはさっそく手を挙げ、人一倍参加したい気持ちをアピールしました。選ばれたときは嬉しくて心の中でジャンプしましたよ。 (笑)
ソフトウェアを担当し、毎日いろいろな機能を追加していくなかで、昨日までできていたことが今日はなぜかできないときがあって…、プログラムミスなのか配線のトラブルなのか原因の追究に悩みました。でも年齢やキャリアに関係なく、自由に相談したり議論できる雰囲気だったので楽しかったです。
はじめは有線でセイコちゃんを繋いで実験していたのですが、マイコンを載せてケーブル無しでセイコちゃんが立って動いたときは感激しました。やっとここまできた!と。
今後は好きなところに行ったり、ピタッと止まったり、セイコちゃんのおてんばなキャラクターを表現できるような動きを持たせたいと思っています。
また、今はソフトウェアの担当ですが、専門分野だけを研究・開発するのではなく、今回のセイコちゃん開発プロジェクトのように自分で企画し、チームを束ねるリーダーになりたいです。

メカを担当していますが、デザイン担当が描くイメージをいかに崩さずに制御部品をコンパクトに配置させるか、という点に苦労しました。ただ、普段から一緒に仕事をしている人たちですので、最低限譲れない部分は話し合って理解してもらうという感じで、仕事の進め方での苦労はなかったですね。 (M.N.)
もともとセイサク君の電子回路を設計していましたが、今回難しかったことは小型化です。女の子のロボットなのでセイサク君の回路はそのままでは入りません。小さくするには回路を分割しなければいけませんが、その回路分割の方法とソフトウェアを兼ね備えたようなシステムの設計をすることに苦労しました。セイサク君は1つのマイコンで動かしていますが、セイコちゃんではそれぞれの機構ごとにマイコンを載せて高速に制御できるようにしています。 (K.K.)
ボディのサイズを計算した上で機構を作りましたので理屈上ではうまくいくはずでしたが、実際に被せたときに本当に干渉しないかということが心配でした。
実際にはめ込んでみると干渉することなく美しく収まり、きちんと動き出したのでその瞬間がいちばん嬉しかったです。 (M.N.)
若い人たちがやりたいと思うことは全部任せています。ものづくりの楽しさを感じることができるすごく良い機会ですので、思いきり楽しんでもらいたいと思いました。彼らの未経験な部分は経験者である私たちがサポートする、というスタンスでした。 (K.K.)

デザインの経験といっても建築分野でしたし、ましてロボットのデザインなんてやったこともなかったので正直ムリでは、と思いました。 (M.K.)
依頼されたリーダーとは所属も違いましたし大丈夫なのかなと。でも何か違うことがやりたかったので良いチャンスかな、とも思いました。 (M.H.)
すぐに「はい、やります!」と答える自信はなかったですが、リーダーに熱心に誘われるうちに期待を感じましたし、ここで頑張れば自分のためにもなるはず、と決意しました。 (Y.K.)
セイサク君とはペアであるという前提で2体のバランスを考えました。その上で可愛らしさを表現するためにいわさきちひろさんの絵のような世界観をイメージしました。 (M.K.)
女の子らしく、また子どもっぽく見せるために自分の姪を思い出しました。おてんばでいたずら好きで愛嬌があって、、、いわゆる子どもらしさを全面に押し出すようなデザインを考えました。はじめにリーダーに見せたときは「もっと落書きみたいな案が出てくると思ってた…」と驚かれました。 (M.H.)
みんなに可愛がられ、応援されるようなロボットになってほしいと思いました。実際に採用されると決まったときは、まさか選ばれると思ってなかったので嬉しかったです。 (Y.K.)

はじめてモックアップ (=発砲スチロールで作った確認用のボディ) を見たときはセイサク君よりも背も高いしボリュームもあったので途方に暮れました。なるべくスリムに見えるように機構部分を組み直してもらったこともありました。 (M.K.)
ボディも何度も作り直してもらいました。私たちのデザインへのこだわりを機構の担当もボディの制作者も理解し協力してもらえた。無理難題にもきちんと向き合ってもらえて感謝してます。 (M.H.)
今までは狭い世界で限られた人たちとしか仕事をしなかったのですが、今回このプロジェクトに参加し、たくさんの人たちとひとつのことをやり遂げるということに大きな達成感を感じました。メンバー全員で何度も議論し完成にたどり着いたので、みんなの「思い」が詰まったロボットです。 (Y.K.)