
ムラタの発展の礎は、チタン酸バリウムというセラミック材料の発見にありました。それ以来一貫して、材料に着目し、研究開発を積み重ね、材料から製品までの一貫生産体制を構築してきました。材料の化学的組成と結晶構造の制御、機能に適した形状への成形、セラミックの電気的特性を引き出す焼成、精密加工技術や回路技術を駆使した加工、解析シミュレーション、品質試験……。ひとつの工程は前後の工程と複雑にリンクしています。新しい技術に取り組むとき、問題を解決しようとするとき、それぞれの工程が緊密に情報交換を行いながら動くので、最も効率的な方策を立てることができます。そこに蓄積されるノウハウがムラタの財産であり、ムラタのものづくりとは、それを的確に運用することなのです。

電子部品の特性に決定的な影響を与えるセラミック材料や電極材料を、高い精度で制御する技術を確立しています。

チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛など、ムラタのセラミック材料は数百種類。このような化学組成はもちろん、電子部品の超小型化が進むにつれて、粉体の粒の大きさや形状が重要になってきました。ムラタでは、有限要素法やモンテカルロ法、分子動力学法などの計算科学も取り入れて、現在では、ナノメートル単位での粒体制御技術の確立を目指しています。
α-アルミナ/ガラス界面の分子動力学シミュレーション。セラミックスの焼結・粒成長の制御への応用を目指しています。
厚さ1μmのセラミックシートから、射出成形による複雑な形状のフィルタまで。“機能のための形”を追求しています。

シート成形では、水とバインダー成分 (ノリ) を加えたセラミック材料を、フィルムの上に薄く伸ばし、それが乾いたところで、金属ペーストの電極を印刷によって形成します。このシートの厚さが、超小型の積層セラミックコンデンサでは約1μm。この中に、セラミックスの粉体を高密度かつ均質に分布させることが、成形技術の最大のポイントです。
紙より薄いセラミックシートを成形し、電極となるニッケルや銅のペーストを印刷する工程。
セラミックスは、焼き固められることで結晶構造が変化し、性能を発揮します。炉の中の見えない挙動を制御する技術です。

セラミック材料と、その上に印刷された電極材料とでは、焼成の際に要求される温度と雰囲気が異なります。また、焼成時間と、その間の温度推移によっても、結晶の成長の仕方や、粒界の成分が変わり、それによって、誘電率や耐電圧などの電気的特性が大きく左右されます。これを科学的に予測し、最適化した焼成プロファイルは、ムラタの重要なノウハウのひとつです。
焼結のための炉も、ムラタ・オリジナル。炉の形状、制御のためのパラメータ、成形品をのせる“さや”など、すべての要素が部品の特性にかかわります。
焼成までの工程を経て電気的な機能を獲得したセラミックスは、次にさまざまな加工を施されて、「電子部品」として完成されていきます。

電子機器の多機能化・高機能化にともなって、部品の複合化が強く要請されています。ムラタでは、さまざまな機能モジュール製品を開発して、その要請に応えています。電源、アンテナ、通信、チューナ、センサなど、電子機器の中で特定の機能を担うモジュール製品を提供することは、回路設計の合理化や、ユーザーの部品実装にかかわる負荷を軽減することにも貢献しています。チップ積層セラミックコンデンサの0402サイズ (0.4mm×0.2mm) をはじめとする電子部品の小型化が進むと、きわめて高度な実装技術が要求されます。ムラタは、モジュール商品の生産で培ったノウハウをユーザーや実装機メーカーに提供して、業界全体の実装技術の発展に向けて働きかけています。
電極の接続や樹脂コーティング、コイルの巻き線など、比較的単純なものから、回路設計を含むモジュールの製作などの複雑なものまで、加工種類は多岐にわたります。
完成した製品は、厳しい検査を受け、その性能を保証されたものだけが、ムラタ製品としてユーザーに届けられます。

製品の信頼性は、各工程ごとに作り込まれていますが、最終段階で、あらためて厳密な品質試験にかけられます。部品単体での試験はもちろん、回路に実装された状態、電子機器の状態でも、期待された特性が出ているかどうか、チェックされます。また、電磁ノイズ対策部品については、業界最大規模の電波暗室で検証。ユーザーに対するアプリケーションサービスとしての役割も担っています。
ムラタは、国際品質マネジメント規格「ISO9001」、米国3大自動車メーカーの品質要求システム「QS9000」、自動車産業個別の国際規格である「ISO/TS16949」、欧米のEMC試験所認定を取得しています。