EMI除去フィルタ(EMC・ノイズ対策)ノイズ対策部品 PLT10H (コモンモードチョークコイル)
開発者インタビュー episode 2

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<episode 1> お客様の声とムラタの考えがマッチして、開発が始まりました。

<episode 2> 商品のスペックはもちろん、小型化や品質管理にもこだわっています。

<episode 3> PLT10Hがあなたの設計をサポートします。開発者からのメッセージ

お客様からの要望・社内からの提案 (既存技術の応用) ・市場予測の全てがPLT10Hの開発を待っていたわけですね。では、製品のコンセプトはどのように決まったのでしょうか?

EV/HVへの対応も考え、車載に対応できる信頼性を確立しました。

インタビューに答える山岸さん (開発・工場)

山岸: まず、信頼性の面からお話します。
商品開発の立場としては、車載対応の信頼性確立技術を持っていたので、車載への対応は意識していました。
また、その頃、お客様からの要望も徐々に出てきたんですよね。車載対応のコモンモードチョークコイルのリードタイプPLT09Hという従来品がありますが、それを使われているお客様からもっと小型化・大電流化してください、と。

津田: ムラタのマーケティング部門の市場予測としても、車載アプリケーションでモーターの数が飛躍的に伸びるという情報がありましたね。当時はEV/HV市場が伸び始めた時期。自動車における電装化が加速しはじめたのもこの頃だと思います。
ムラタは今後EV/HV市場が盛り上がっていくことを推測し、早くからEV/HVへの対応を始めていったというわけです。

山岸: そうですね。ここでも、お客様の声と社内提案と市場予測がうまくかみ合いましたね。

コモンモード・ディファレンシャルモードの両方に対応するハイブリッド大電流ノイズフィルタです。

高嶋: 次に、特性面でのお話になりますが、前述の「10Aクラスの電流値対応」はお話した通りなのですが、さらにコンセプトが明確になってきたのは、ファンモーターのノイズ対策を行っている時でした。
車載モーターのお客様からは、FM帯・AM帯のノイズを効率よく落としたいというご要望を良くお聞きします。
同業品は高周波寄りの商品が多かったので、ムラタはFM帯・AM帯を狙って商品開発しよう、と。そうすれば、FM帯・AM帯のノイズ対策でお困りの方に喜んでいただけるだろうと思って「FM・AM帯のノイズ対策」を商品コンセプトに加えました。

津田: 車を運転しているとFMラジオやAMラジオの雑音は気になりますもんね。
PLT10Hで対策すれば、そういった表面に現れるラジオの基本的な性能である受信特性の改善にも貢献できるわけです。
もちろん、自動車メーカー様が準拠すべきノイズ規制をクリアするためにPLT10Hは優れたノイズ抑制効果を発揮します。
一例としは、X/Yコンデンサの対策だけでは、CISPR 25 Class3対応を満たすノイズレベルでしたが、PLT10Hを加えることでCISPR25 Class4レベルのより厳しいノイズ基準も満足させることができるというノイズ対策成功例も順調に数を伸ばしています。

山岸: また、これは従来のコモンモードチョークコイルと異なり、ノーマルモードノイズも対策できるハイブリッドタイプになっています。
よって、1個でコモンモードノイズだけでなくノーマルモードノイズも除去できます。

津田: 万能ハイブリット大電流ノイズフィルタですね。

縦型の設計で底面積を削減し、省スペース化に貢献します。

高嶋: 次に形状の話でいくと、SMD化は早くからコンセプトに上がっていました。
車載部品メーカー様の例では、リードタイプのPLT10H相当品以外に関しては全て面実装品だったんですよね。
そして、SMD品であるPLT10Hを導入することで、全ての部品が面実装品になったので、実装はリフローのみでOKとなりました。これも非常に大きなメリットに思っていただけましたね。

形状面で非常に悩んだのは縦型か横型かという点でしたね。
お客様の声をよく聞いていくと、「高さは高くても良いから底面積は小さい方がよい」ということが見えてきました。何故なら電源ラインには背の高い大きいコンデンサが入るからですね。そこから、縦型で底面積が小さい方が基板の省スペース化に貢献できるのでお客様にメリットがあるだろう、と。

津田: 同業他社品には大電流に対応しているコモンモードチョークコイルが少ない中、PLT10Hは画期的に小さなサイズにもかかわらず、10Aクラスの大電流に対応しています。
ムラタは携帯電話やモバイル機器で培った小型・高性能技術を大電流の部品にも適用することでサイズ面でもメリットが出せたと思いますね。

なるほど。さまざまな角度から検討して製品コンセプトが出来上がったんですね。
さて、続いては開発でこだわった点を教えていただけますか?

素材へのこだわりと特殊な形状のコイルで低直流抵抗・低発熱を実現しました。

インタビューに答える高嶋さん (商品企画)

山岸: 高信頼性の確保と、温度上昇の抑制にこだわりましたね。これは、特殊な形状の平角コイルを使うことで実現できました。平角コイルを使って、端子とコイルを一体構造にすることによって、直流抵抗が低く低発熱な特性を確保できるようになりました。接続部分をもたないため端子とコイルが外れることが無く、信頼性試験の故障モードで考えるべき点が減ります。

高嶋: 振動対策としてはケースにもこだわりましたよね。

山岸: そうですね。自動車や産業機器のように振動が起こりやすいアプリケーションでも安心してお使いいただけるように、樹脂ケースを被せて、振動に強い構造にしました。
ケースを付けることで、他の部品との絶縁性も保てるため、近接して他の部品と実装できます。これも基板の省スペース化に貢献できますね。

高嶋: ケースなどに使う素材も吟味しましたよね。

山岸: コアもコーティング樹脂もケースも全て素材にはこだわりました。
例えば、コイルのコーティングの樹脂は車載のお客様にも満足いただけるようなグレードの高い耐熱性の高いものを使っています。ケースの樹脂の選定・コアの選定にもノウハウが活きています。

品質管理についてはいかがですか?

車載ビジネスの知見を活かした安心の品質管理を行なっています。

山岸: 民生品はもちろん、自動車などの高信頼性が求められる場面でもお使いいただけるように車載品と同じ品質管理を行っています。
自動車メーカー様の監査でも認定を受けていますし、品質管理についても安心いただければと思います。

津田: ムラタはコンデンサでも長年車載ビジネスでの知見がありますしね。

山岸: また、高い信頼性を維持するため製造ラインにもこだわっています。材料投入後は連続でテーピングまで出来る全自動ラインです。製造ライン・製造機器についても社内で設計を行いました。

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