Tech-On! SPECIAL

Part3 製品動向(1)
積層セラミックコンデンサの小型化動向,
超薄型化とアレイ化に注目

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山内公則氏
山内公則氏
村田製作所
常務執行役員
コンポーネント事業本部
本部長

これまで着実な小型化を続けてきた積層セラミックコンデンサ。現在の最小品は0.4mm×0.2mmの0402品だが,小型化はまだまだ続く。既に0.2mm×0.1mmの0201品に対する期待が高まっており,さらなる小型品の検討も始まっている。このほか,小型化に関する新しい方向性も台頭し始めている。プリント基板への埋め込みに向けた超薄型品と,1個の部品に複数のコンデンサ素子を作り込むアレイ品である。

  積層セラミックコンデンサは,小型化と大容量化を推し進めることで,アルミ電解コンデンサやタンタル電解コンデンサ,フィルムコンデンサといったほかのコンデンサの市場を奪いながら市場規模を広げてきた。今後も,この基本的な戦略に変わりはない。より小さな体積の中に,より大きな静電容量を詰め込むことで新たな市場を獲得していく戦略である。

小型化はまだまだ進む

 1960年代中盤に,外形寸法が3.2mm×1.6mmのいわゆる3216品が製品化され,それ以降,積層セラミックコンデンサはサイズが異なる五つの製品が市場に投入されている(外形寸法がイレギュラーな製品を除く)。すなわち「2012(2.0mm×1.2mm)品」,「1608(1.6mm×0.8mm)品」,「1005(1.0mm×0.5mm)品」,「0603(0.6mm×0.3mm)品」,「0402(0.4mm×0.2mm)品」である(図1)

図1 サイズ別構成比の推移
図1 サイズ別構成比の推移
2009年現在で,構成比が最も高いのは1005品である。ただし,1005品は出荷数量のピークを過ぎており,これに代わって0603品の構成比が急激に高まっている。2015年には1005品を追い抜く見込みだ。図は村田製作所による予測。(クリックで拡大します)

 現在,出荷数量が最も多いのが1005品で,これを0603品が追いかけている状況にある。これまで各サイズの世代交代の周期は約5年だった。この周期は小型化の進展とともに長くなる傾向にあるものの,いずれ0603品が1005品の出荷数量を上回る時期がやってきそうだ。それは「2015年になる」と村田製作所 コンポーネント事業本部 本部長である山内公則氏は予測している。

0402品については製品化が2005年に始まったばかりで,量産規模はまだ小さい。しかし同社は,「0402品にも,いずれ0603品の出荷数量を追い抜くときがやってくる」(コンポーネント事業本部 セールスエンジニアリング統括部統括部長の毛利晃氏)と見ている。

 それでは,0402品の次の世代となる「0201(0.2mm×0.1mm)品」は実用化されるのだろうか。かつて電子部品業界には,「0402品が小型化の限界」という説が流れたことがあった。その根拠としては,0402品の製造に必要な誘電体層の薄型化が困難なことと,0402品に対応する実装機(マウンタ)の開発が難しいことという二つの問題が挙げられていた。当然ながら,この二つの問題は,さらに小型の0201部品ではより一層難易度が増す。従って,「0201品の製品化は難しい」という指摘があることも事実だ。

 しかし,こうした心配は杞憂に終わりそうである。なぜならば同社などが既に,0201品の試作を終えているからだ。「限界はあるようでない。少しずつ開発を進めて行くと実現できてしまうものだ。恐らく,より小型品もいずれ実用化されるだろう」(同氏)。

図2 基板への埋め込みに向けた超薄型コンデンサ
図2 基板への埋め込みに向けた超薄型コンデンサ
厚さが0.15mmと薄い「GRUシリーズ」。定格電圧は6.3Vで,静電容量は0.1μFである。

埋め込み品とアレイ品に期待

  ただし今後は,小型化に関する戦略が多様化しそうだ。従来のように,サイズの世代交代を単純に繰り返すだけでなく,新しい方向性(トレンド)が台頭する。

 その方向性は二つある。一つは,投影面積(実装面積)は変えずに薄型化を推し進めることでプリント基板などへの埋め込み(エンベデッド)用途に対応すること。もう一つは,1個の部品に複数のコンデンサ素子を作り込むアレイ化である。

 村田製作所では既に,プリント基板への埋め込み用途に向けた積層セラミックコンデンサ「GRUシリーズ」を製品化している(図2)。外形寸法は横が1.0mm,縦が0.5mmで,厚さが0.15mmと薄い。定格電圧は6.3Vで静電容量は0.1μFである。現在,静電容量が0.22μFと大きい品種も開発中だ。

図3 埋め込み向けコンデンサの実装例
図3 埋め込み向けコンデンサの実装例
プリント基板の内部に実装し,その真上に置いた半導体チップとビア・ホールを介して実装する。既存の表面実装と比べると,実装面積を大幅に削減できる。

 このコンデンサは,プリント基板の内部に埋め込み,その真上に実装した半導体チップとビア・ホールを介して接続する(図3)。半導体チップとコンデンサを立体的に積み重ねることが可能になり,半導体チップの周囲に多数のコンデンサを実装する必要がなくなるためプリント基板の小型化が可能になる。メリットはもう一つある。半導体チップとコンデンサを接続する配線の距離を短くできるため,寄生インダクタンスや寄生容量の成分が小さくなりノイズの吸収効果を高められることだ。同時に,デカップリング効果も高められるようになる。

 埋め込み向けコンデンサはまず,最先端の無線通信モジュールなどで採用が始まりそうだ。その後,携帯電話機やノートパソコン,デジタル・カメラといった小型軽量化が求められる電子機器のプリント基板に適用され始めるだろう。ただし,広く普及させるには課題がまだ残っている。埋め込み向けコンデンサに対応した実装技術や材料技術がまだ確立されていないことである。同社では,「埋め込み向けコンデンサを販売するだけでなく,その実装技術や接続材料などを合わせて提供することで普及を図りたい」(山内氏)としている。

2度目の挑戦へ

もう一つの方向性であるアレイ化は,決して目新しいものではない。1990年代前半に一度,各電子部品メーカーともにアレイ品の拡充に力を入れた。目的は,より一層の小型化である。当時は1005品が主力で,0603品がまだ実用化されていなかった。そこで小型化を推し進めるために, 1005品に向けた技術を応用して製造したアレイ品を,各電子部品メーカーがこぞって製品化した。

 しかしその後,技術が進化して0603品が実用化されるとアレイ品に対する熱は一気に冷めてしまった。アレイ品を採用するよりも,複数の0603品を使った方が安価で済むからである。

図4 コンデンサ素子を2個作り込んだアレイ品
図4 コンデンサ素子を2個作り込んだアレイ品
右端が,最近市場に投入した「GNM0M2」。外形寸法は0.9mm×0.6mm。ここにコンデンサ素子を2個作り込んだ。それぞれの静電容量は1.0μFである。

 ところが「最近になって,電子機器メーカーやEMS(受託製造)企業からアレイ化を望む声が復活しつつある」(村田製作所の毛利氏)という。ただし,アレイ化に期待することは1990年代前半と異なる。今回の最大の目的は,実装コストの削減と部品管理コストの削減にある。二つのコンデンサ素子が入ったアレイ品を使えば,実装回数も在庫個数も半分に減らせる。

 同社では,こうした声に応えるべく,アレイ品の拡充を積極的に進めている。最近市場に投入した製品としては「GNM0M2」がある(図4)。外形寸法は0.9mm×0.6mmで,ここに二つのコンデンサ素子を作り込んでいる。定格電圧は6.3V。静電容量はそれぞれの素子ともに1.0μFと大きい。0603品を二つ使う場合は,それらの間にギャップ(空間)を設けて実装しなければならない。しかし,アレイ品の場合は,ギャップに相当する部分もコンデンサとして利用できるため,大きな静電容量が得られるわけである。

 ※ 会社名,製品名は,各社の商標もしくは登録商標です。

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