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PTCサーミスタ"ポジスタ®"/NTCサーミスタによる温度 (過熱) 検知・過電流保護

電波新聞第2部「ハイテクノロジー」 2010年7月8日号に掲載された内容を再構成したものです。

掲載誌 電波新聞第2部「ハイテクノロジー」 2010年7月8日号

No. TA1072

はじめに

昨今、携帯端末やモバイルパソコンなどの普及が進む中、電子機器の小型化・高出力化が年々進んでいる。このため、機器の機能だけでなく機器の安全性・安定性対策にサーミスタ機能のニーズが高まっており、温度 (過熱) 検知・過電流保護・温度補償などの用途に展開されている。

サーミスタとは、温度により抵抗値が変化する抵抗体であり、PTCサーミスタとNTCサーミスタがある (図1) 。村田製作所では、独自のセラミック半導体技術と微細加工技術、電極技術を駆使し、これらPTCサーミスタ (ポジスタ®※1) とNTCサーミスタを商品化し、用途に応じた商品を提供している。以下にその主な用途について説明する。

図1: PTC,NTCサーミスタの抵抗-温度特性

図1: PTC、NTCサーミスタの抵抗-温度特性

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温度 (過熱) 検知用途への対応

ポジスタ®は特定の温度から急激に抵抗値が大きく変化する。この性質を利用して、回路が特定温度以上に過熱した異常状態を察知し回路を遮断する用途 (=過熱検知) に適している (図2) 。これに対し、NTCサーミスタは広い温度範囲で抵抗値が一様に変化する。ポジスタ®ほど抵抗値の変化は大きくないが、その一様かつ滑らかな抵抗変化を利用することで回路の温度を電気信号として検出できるため、回路の温度検知、温度制御の用途に適している (図3) 。

村田製作所ではこのポジスタ®とNTCサーミスタ両方の特性を、幅広いラインアップで商品化しており、温度に関する様々なニーズに応じたサーミスタを提供している。

また製品の形状として、リード部品とチップ部品に加えて、フレキシブルな被覆リード線により電子機器内の狭隘部にも引き回しが可能な新しいリードタイプ"サーモストリング"も商品化している (図4) 。

図2: PTCサーミスタ“ポジスタ®”による過熱検知

図2: PTCサーミスタ"ポジスタ®"による過熱検知

図3: NTCサーミスタによる温度検知

図3: NTCサーミスタによる温度検知

図4: サーモストリング

図4: サーモストリング

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温度 (過熱) 検知の今後の展開

ポジスタ®では、検出温度の精度を向上させるとともに、小型化を一段と進めている。NTCサーミスタでは、検出温度に対する抵抗値の偏差を小さくすることが大きな課題の一つとして挙がっており、高精度、狭偏差品の商品ラインアップ拡充を進めている。

一方でサーミスタを使った温度回路の設計には若干のノウハウを必要とする。この点に対し、お客様の温度 (過熱) 検知をサポートする回路設計を支援するツールも当社では提供している。従来はNTCサーミスタのみの提供であったが、2010年4月よりポジスタ®の支援ツールの運用も開始した※2。商品だけでなく、お客様の温度 (過熱) 検知回路設計にもお応えできる体制を構築してゆく。

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過電流保護用途への対応

不動作電流 (特定の周囲温度においてポジスタ®が抵抗値上昇に伴う動作をしない最大の電流値) 以下となる電圧をポジスタ®に印加した場合、素子に流れる電流は時間が経過しても変わらない。しかし、動作電流より大きな電流をポジスタ®に印加すると、急激に電流が減衰する電流減衰特性が得られる (図5) 。当社ではポジスタ®のこの性質を利用し、過電流の保護を実現している。

PTCサーミスタにはポジスタ®のようなセラミックスのほかに有機材料を使ったPTCサーミスタがあるが、一般にセラミック系の材料を使ったPTCサーミスタは有機材料を使ったデバイスに比べて基板実装時の特性変化や、特性の繰り返し再現性が優れている。つまり抵抗温度特性が安定しているため、保護回路の設計が容易であり、経時的な変化を抑えた保護動作を実現できる。

一方、セラミック製のPTCサーミスタは低抵抗化が難しいという欠点もあり、従来のチップ部品では比較的低い保持電流を持つ製品が主流であった。しかし当社では独自のセラミック半導体技術を駆使し、100〜750mAまでの幅広い回路保持電流に対応したポジスタ®を商品化している (図6) 。以下にその主な特徴を記載する。

  • 1608サイズや2012サイズの小型面実装部品
  • 10mAから750mAまでの多様な保護電流の品揃え
  • 動作後、元の抵抗値に復元する自己復帰性
  • 積層セラミックチップコンデンサなどの汎用チップ部品と同等の実装性
図5: PTCサーミスタ“ポジスタ®”の電流減衰特性

図5: PTCサーミスタ"ポジスタ®"の電流減衰特性

図6: 過電流保護用チップPTCサーミスタ"ポジスタ®"のラインアップ

Size
[mm: mils]
Part Number Hold Current [mA] Trip Current [mA] V max
[V DC]
R 25
[ohm]
@ 60degC @ 25degC @ 25degC @ -10degC
2012: 0805 PRG21BB220MB1RK 30 44 91 110 20 22
PRG21BB150MB1RK 40 59 116 140 20 15
PRG21BC6R8MM1RA 80 120 260 320 20 6.8
PRG21BC4R7MM1RA 100 155 330 400 20 4.7
PRG21BC3R3MM1RA 120 180 400 480 16 3.3
PRG21BC2R2MM1RA 150 220 500 600 12 2.2
PRG21BC1R0MM1RA 220 330 740 850 9 1.0
PRG21BC0R6MM1RA 285 420 920 1100 6 0.6
PRG21BC0R2MM1RA 500 750 1620 2000 6 0.2
1608: 0603 PRG18BB471MB1RB 7 10 21 25 24 470
PRG18BB221MB1RB 10 14 29 35 24 220
PRG18BB101MB1RB 15 21 45 55 24 100
PRG18BB470MB1RB 20 29 61 75 24 47
PRG18BB330MB1RB 25 36 71 85 24 33
PRG18BC6R8MM1RB 80 120 260 320 20 6.8
PRG18BC4R7MM1RB 100 155 330 400 20 4.7
PRG18BC3R3MM1RB 120 180 400 480 12 3.3
PRG18BC2R2MM1RB 150 220 500 600 9 2.2
PRG18BC1R0MM1RB 220 330 740 850 6 1.0

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過電流保護の今後の展開

近年、モバイル機器などの小型・多機能化な製品での過電流、内部ショート保護の要求が拡大している。この分野ではより小型の製品が要求されており、小型品でのラインアップ拡充を進めてゆく。

※1: "ポジスタ®"は、株式会社村田製作所の登録商標です。
※2: 「設計支援ツール」は村田製作所ウェブサイトよりご確認いただけます。
http://www.murata.co.jp/products/thermistor/design_support/index.html
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