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超低端子間容量セラミックESD保護デバイス

電波新聞第2部「ハイテクノロジー」2010年7月8日号に掲載された内容を再構成したものです。

掲載誌 電波新聞第2部「ハイテクノロジー」2010年7月8日号

No. TA1073

市場背景

半導体プロセスのファインピッチ化や、それら半導体製品を搭載する電子機器の小型・薄型化が進んだことにより、電子機器のESD (electrostatic discharge) 耐性が低下しており、ESD対策が重要となってきている。

また、携帯電話やノートPCをはじめとする電子機器の多機能化により、アンテナやインターフェースのポート数が増えており、ESD保護素子の需要が増える事が予測される。

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開発背景

これまでもESD保護デバイスは商品化されていたが、従来品では繰り返しESDにより抑圧特性が劣化する等の問題があった。また、データの高速伝送化により、伝送ラインに許容できる寄生容量値を低く抑える必要があり、ESD保護素子にも低容量品が望まれている。

そこで (株) 村田製作所は、長年にわたり培った材料技術や積層プロセス技術により、ESD繰り返し耐久性を高め、かつ0.05pFという超低端子間容量のESD保護素子を商品化する事に成功した。

当製品は2009年度より量産供給を開始している。

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概略仕様

品名

LXES15AAA1-017

外観・寸法

外観・寸法

(単位: mm)

Mark 寸法
L 1.00±0.05
W 0.50±0.05
T 0.33 max
e 0.20±0.10
g 0.40 min

外観・寸法

回路図

回路図

絶対最大定格

項目 定格 単位
端子間DC電圧 15 V
ESD per IEC 61000-4-2 (air)
ESD per IEC 61000-4-2 (contact)
±15 kV
動作温度 -40 to +85
保存温度 -40 to +85

電気的特性(T=25℃)

項目 条件 TYP 単位
端子間容量 Vbias=0V, 1MHz 0.05 pF

当社のセラミックESD保護デバイスは、当社独自の電極形成技術・セラミック技術を用いて、セラミック内部に非常に近接した電極を設けている (図1)。保護したい信号ラインとGND間にESD保護デバイスを配置することによって、ESD保護機能働かせることが出来る。通常動作時はオープン状態であるが、ESDのような高電圧が印加されると、アーク放電を発生させて、対向するGND端子に電流を流す。また対向させる電極が1対だけのため、バリスタと比べて、超低端子間容量 (0.05pF) を実現している。

図1 セラミックESD保護デバイスの内部構造

図1 セラミックESD保護デバイスの内部構造

通常、ESD保護素子は人体や他の帯電した物体と、保護したい装置の間において、直接 (直接放電) または近傍 (気中放電) で発生する静電気放電の影響を防ぐために設置される。そのため、ESD保護素子の保護特性を評価する場合は、静電気放電のイミュニティ試験として標準化されているIEC61000-4-2 (Level4) にて試験を実施する。図2は、IEC61000-4-2 (Level4) の試験結果を示している。

図2 セラミックESD保護デバイスの内部構造

図2 セラミックESD保護デバイスの内部構造

ESD保護素子を設置しない場合、ESD印加直後に電圧が1000V程度に達した後、徐々に減少していく。一方、当社のセラミックESDを設置した場合、印加直後のピーク電圧を抑制しているのはもちろんのこと、30ns後のクランプ電圧を40V前後にまで抑制し、安定していることがわかる。

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製品の特徴

当社のセラミックESD保護デバイスには、大きく3つの特徴がある。

1.繰り返し特性

ESD保護デバイスにはESD印加時の電圧を抑制することはもちろんのこと、ESDが繰り返し印加しても、特性が劣化しないことが求められる。特に、操作時には常時人が触れることになる携帯電話をはじめ、頻繁に抜き差しされるUSB、イーサネットコネクタ、外部ドライブのインターフェースなどは、常に静電気の危険にさらされていると言っても過言ではない。

通常、スパークギャップタイプのESD保護素子およびバリスタは、ESDの印加回数と共に保護特性も劣化していく。一方で、当社のセラミックESD保護素子は1000回ESDを印加した後でも、クランプ電圧を一定に保つことが可能となっている (図3)。

図3 ESDを1000回印加した時のクランプ電圧

図3 ESDを1000回印加した時のクランプ電圧

2.低容量

USBやHDMI等のインターフェースは頻繁に抜き差しするため、多くの静電気ストレスが印加される。人が触れることで発生する静電気のレベルは、容易に8kVにまで達するため、静電気ストレスがICに印加されると、誤動作を引き起こすだけでなく、IC自体の故障にまで発展する。

近年、USB3.0やHDMI1.3のような高速インターフェースが登場し、通信速度が飛躍的に増加している。よって、高速インターフェースには、コネクタと駆動ICの間に保護素子の設置が推奨される。しかし、ESD保護デバイスが持つ寄生容量が大きいと信号波形を歪ませ、通信を妨げてしまうこととなるが、当社のセラミックESDデバイスは6GHzでの挿入損失もほとんど0に近く、信号劣化がない (図4)。

図4 挿入損失圧

図4 挿入損失

また、通信アイパターンを劣化させることもなく、良好な通信を維持することが出来る (図5-1,5-2)。

図5-1 LXES15AAA1-017を設置した場合の通信アイパターン(HDMI 1.3)

図5-1 LXES15AAA1-017を設置した場合の通信アイパターン(HDMI 1.3)

図5-2 数pFの寄生容量を持つESD保護デバイスを設置した場合の通信アイパターン(HDMI 1.3)

図5-2 数pFの寄生容量を持つESD保護デバイスを設置した場合の通信アイパターン (HDMI 1.3)

3.低IMD

アンテナ端のように送信周波数f1と受信周波数f2のような2つの周波数が存在し、非線形素子がアンテナ周りに存在するとa*f1±b*f2(a,b=1,2,3・・・)で表される歪成分が多く発生し、通信を妨害してしまう。つまり、アンテナ端のESDを保護し、通信障害を防止するためには非線形のESD保護デバイスが求められる。当社のセラミックESD保護デバイスは、セラミックで形成された受動部品であり、IMD(混変調歪み)抑制特性が非常に優れている。

3種類の妨害波 (f2-f1,2f1-f2,f1+f2)とf1をミキシングして、f2の周波数成分を確認してみても、全て-110dBm以下を実現しており、通常のESD保護デバイスよりも低IMD特性を実現している (表1)。

表1

  Blocker1
(f2-f1=45MHz)
Blocker2
(2f1-f2=791.5MHz)
Blocker3
(f1+f2=1718MHz)
F2 level [dBm] (LXES15AAA1-017) -114.9 -112.6 -110.8
F2 level [dBm] (Competitor) -38.1 -53.0 -50.5

Blocker level:-15dBm/881.5MHz
f1 level:+20dB/836.5MHz

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今後の展開

当製品は、携帯電話を中心に様々な電子機器にご採用頂いており、お客様のご要望に対応して生産能力を向上させる計画をしている。また、今後は0603サイズ、アレイタイプ、フィルタ付タイプ等の開発を行ってゆく。

尚、当社ではツェナーダイオードタイプのESD保護素子も商品化しており、様々なニーズに合わせたESD保護素子を提供できるトータルESDハウスとして展開してゆく。

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