電波新聞第2部「ハイテクノロジー」2011年1月6日号に掲載された内容を再構成したものです。
| 掲載誌 | 電波新聞第2部「ハイテクノロジー」2011年1月6日号 |
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No. TA10D1
近年の電子機器の高機能化に伴い、部品は点数が増加し、小型化・薄型化が求められている。実装スペースを確保するため、ICのバイパス用やデカップリング用など、ICの安定動作には必要不可欠なコンデンサも小型化が進んでおり、表面実装では0402サイズまで商品化されている。さらにセットの小型化を進めていくために、プリント基板内に部品を埋め込んで接続する部品内蔵基板が検討されている。内蔵される電子部品は、IC、抵抗、コンデンサ、インダクタとなる。一部、モジュール向けの基板などで、IC、抵抗、コンデンサ内蔵の基板が商品化され、市場に出始めてきている。
このような部品内蔵基板に対応するため、 (株) 村田製作所では回路基板内蔵用積層セラミックコンデンサの開発をスタートさせ、「GRUシリーズ」を商品化した。本稿ではこの「GRUシリーズ」について紹介する。
図1: GRU15Yシリーズの外観
(1005/T=0.15mmMAX/Cuめっき外部電極)
部品内蔵基板とは、樹脂基板の中に能動部品、受動部品を埋め込んだプリント配線基板のことである。図2に積層セラミックコンデンサを内蔵した概略図を示す。プリント配線基板内へ部品を埋め込むことで、3次元に部品配置し、小型化を実現するものである。また、厚み寸法 (T寸法) の薄い部品を基板内に内蔵することで、モジュール自体の低背化も実現することが可能となり、モバイル機器の低背化要求に対応できる。
図2 部品内蔵基板の概略図
高機能化していくモジュールの安定動作のためには、動作中の負荷変動吸収やノイズ除去など高品質な電源が必要となる。そのためICのできるだけ近くにコンデンサなどの受動部品を配置し、配線長を短くすることによりインダクタンス成分を小さくすることが重要となる。現在の設計では、ICの真横や、ICが実装されている基板の真裏にコンデンサを配置する、コンデンサ自体のインダクタンス成分を下げた設計である低ESLコンデンサを使用するなどして対応しているが、基板にコンデンサを内蔵することで表面実装に比べ配線長を短くすることができ、特性改善が期待できる。
表面実装と基板内蔵でどの程度配線を含んだ基板のインピーダンスに差が出るのか基板内蔵の効果を電磁界シミュレーションにより比較を行った。図3にシミュレーションのモデルを示す。コンデンサは表面実装で1005サイズ、T=0.55mmMAX品、基板内蔵で1005サイズ、T=0.22mmMAX品を使用した。今回、コンデンサはショートした構造のものとし、簡易的にインダクタンス成分だけをシミュレーションした。
図3 電磁界シミュレーションのモデル図
図4に基板のインピーダンス‐周波数特性データを示す。今回モデルとした基板では、基板内蔵にすることで、表面実装に比べ、配線含んだ基板のインダクタンスが約1/10に低減した。実際の回路を構成した基板でも同様に大きな電気的特性の改善が可能と推測する。
図4 基板のインピーダンス‐周波数特性データ
部品内蔵基板の種類としては、埋め込む部品の接続方法の違いにより、大きく分けてはんだで実装する場合とCuビアで接続する場合の2種類がある。表1にそれぞれの接続方法での特徴と懸念点をまとめたものを示す。
はんだで実装する場合は、内蔵する部品としては、安価な汎用のSnめっき品の積層セラミックコンデンサが使えるが、Cuビアで接続する場合は、部品の外部電極がCuであることが望まれ、Cuビア接続用の積層セラミックコンデンサが必要となる。はんだ接続での懸念点は、二次加熱時のはんだの溶融が挙げられる。またCuビア接続の場合、コンデンサの外部電極部分がレーザーのパッドとなり、ビアを形成するため、コンデンサ実装用のランドがなく、基板として配線長を最小にできるとともに、高密度で実装可能となる。
表1 部品内蔵基板の接続方法による特徴の違い
| 接続方法 | はんだ接続 | Cuビア接続 |
|---|---|---|
| イメージ | ||
| 特徴 | 汎用のMLCCが使用可能 高密度化 |
高密度化 (ランド面積削減) 配線長の最短化 |
| 懸念点 | 二次加熱によるはんだの溶融 | レーザー、めっきに対するコンデンサの耐性 |
GRUシリーズは最終の外部電極をCuめっきとしたことを特徴とする積層セラミックコンデンサである。GRUシリーズを基板に内蔵し、レーザーにてコンデンサの外部電極部分を的としビアを形成する。そこをCuめっきにて接続を行うため、コンデンサの外部電極をCuめっきで終端している。GRUシリーズにはT寸法により2種類の構造がある。T=0.22mm/0.33mmMAXのアイテムは外部電極がCuまたはAgの下地電極+Niめっき+Cuめっきとなっている。T=0.15mmMAXのアイテムはNiの下地電極+Cuめっきとなっている。
T寸法を薄くしていくと、当然のことながらセラミックコンデンサ自体の機械的強度が弱くなり、マウンターでの実装時にセラミックコンデンサが割れてしまうという問題が起きる。そのため、外部電極をできるだけ薄く、セラミック素体を厚くし、機械的強度を高めている。
Cuビア接続での部品内蔵基板の製造プロセスでは、ビアを空けるためのレーザーや薬剤によるデスミア処理のプロセスがある。GRUシリーズは、埋め込まれた後の信頼性に考慮し、レーザーや薬剤に耐えるCuめっきの厚さを確保している。
GRUシリーズのサイズとしては0.6×0.3mmと1.0×0.5mmの2種類で、T寸法は0.15mmMAX、0.22mmMAX、0.33mmMAXを揃えている。バイパスやデカップリング用途で使用される高い静電容量値の取得できる高誘電率系のものと、マッチング回路やフィルター用途で使用される温度補償用のものを対象としている。表2にGRUシリーズのラインアップの抜粋を示す。それぞれのサイズ/T寸法での最大静電容量値を示したものである。
表2 GRUシリーズのラインアップ抜粋
| 品番 | LxW寸法 (mm) | T寸法 (mm) | 静電容量 (µF) |
|---|---|---|---|
| GRU15YR60J224K | 1.0x0.5 | 0.15 MAX | 0.22 |
| GRU152R60J105M | 1.0x0.5 | 0.22 MAX | 1.0 |
| GRU033R60J224M | 0.6x0.3 | 0.33 MAX | 0.22 |
| GRU153R60J105M | 1.0x0.5 | 0.33 MAX | 1.0 |
今後機器の小型化、薄型化の進展にともない、部品内蔵基板の普及も進むと予想しており、そのCuビア接続の部品内蔵基板に対応したGRUシリーズの要求も強くなってくると考える。当社では、今後必要となる商品の調査を行い、1005サイズ/T=0.15mmMAXの温度補償用の商品や、さらなる小型品の開発を進め、ラインアップの拡充を行い、市場のニーズに合った商品を提供していく。