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コンデンサガイド

セラミックコンデンサの信頼性技術とは?

信頼性技術ってなに?

信頼性技術とは何なのでしょうか。まずはこの点からご紹介したいと思います。
信頼性技術は故障技術ともよばれ、製品の故障がどのように生じるかを評価・解析して理解することによって製品の信頼性を向上させる技術であり、逆に言えば、故障品を作り出す技術とも言えます。

※故障と不良の違い
・不良品は作った時から不良です。
・故障品は作った時は良品ですが、時間的な経過とともに不良品となるものです。

この良品から不良品となる過程を取り扱うのが信頼性技術です。
故障を作り出す因子は、以下に示すように3つあります。

1. 製品に元々潜在的に内在する内因(素因)
2. 使用環境で加わる熱や湿度などの外的なストレス(外因)
3. 時間的劣化

故障を作り出す因子のイメージ画像

故障ってなに?

前段で「信頼性技術は故障技術ともよばれる」と述べましたが、実は故障のパターンは色々と種類があります。
以下に、バスタブカーブとよばれる、故障率と時間の相関を表すグラフを示します。

バスタブカーブのイメージ画像
バスタブカーブ

製品は時間の経過とともに初期故障/偶発故障/摩耗故障の3つの期間に分かれており、それぞれ故障の要因が異なります。

初期故障

使用開始後、早い時期に故障が発生し、時間の経過とともに故障率が減少していきます。潜在的な欠陥が主な要因と考えられ、設計/選別工程の改善やスクリーニングなどにより、流出を防ぐことが重要です。

偶発故障

初期故障が落ち着いた後、偶発的に故障が発生する期間があります。主にかみなりや製品落下など突発的な事象で引き起こされるため、時間の経過に関係なく、ほぼ一定の故障率となります。製造工程での偶発的な欠陥の発生や使用環境ストレスのばらつきを抑え、故障率をゼロに近付けることが目標となります。

摩耗故障

偶発故障期を過ぎた後、時間の経過とともに故障率が増加していきます。これは主に製品の摩耗、損耗が原因と考えられ、製品寿命が尽きたとみなされます。

このように故障にも種類があり、それぞれ要因も異なります。品質保証のためには、この要因をしっかりと見極め、正しい検証方法(信頼性試験)を選ぶことが重要です。

信頼性試験ってなに?

次に信頼性試験ついてご説明いたします。信頼性試験は、工場より出荷され、市場で機器寿命まで使用される間の品質を、予測するための試験です。市場環境と相関が高いストレスを選定して、ストレスの大きさと印加時間を設定し、製品信頼性を可能な限り短時間で正しく評価することを目的とします。
また、試験には様々な試験項目があります。単一ストレスだけでなく、複合的なストレスに対する試験や、故障メカニズムの観点から開発された試験方法があります。

それでは、電子部品に関係する主要な信頼性試験の種類を、幾つかご紹介しましょう。

試験項目試験目的想定している環境の例
高温試験
・高温放置試験
・高温負荷試験
高温雰囲気中において、
部品が受ける影響を評価します。
PC/自動車など、動作時にセット内容が
高温になる機器での使用を想定。
高温高湿試験
・高温高湿放置試験
・高温高湿負荷試験
高温高湿雰囲気中において、
部品が受ける影響を評価します。
東南アジアの湿気、日本の梅雨時期、
洗面所・風呂場の環境を想定。
熱衝撃試験周囲の急激な温度変化において、
部品が受ける影響を評価します。
寒い部屋から暖かい部屋へ持ち込んだ時の
気温の変化、自動車のように起動すると急激に
温度が上がる機器での使用を想定。
落下試験工程での取り扱い・市場での使用中の
落下により、部品が受ける影響を
評価します。
製品を落とした際を想定。
携帯電話での使用が想定される場合、
模擬筐体を用いた試験を行うこともある。
静電気試験
・HBM
・MM など
人体・金属機器・デバイスに帯電した
電荷が放電した際に製品に与える影響を
評価します。
HBM:人体に帯電した電荷が電極端子に
触れた時に放電するモデル。
MM:金属製機器に帯電した電荷が電極端子に
触れた時に放電するモデル。
PC、携帯電話、自動車のイメージ画像

これらの試験を通し、市場環境で使用可能であると判断された部品のみ、晴れて商品として市場へ出ることとなります。

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