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高速応答DC-DCコンバータの基礎知識

下記事は、高速応答DC-DCコンバータに関する基礎情報をまとめております。
当コンバータを理解する上でお役立てください。

負荷急変対応 高速DC-DCコンバータ (“リップルコンバータ・エクストリーム®”MPDRXシリーズ)

はじめに

情報通信機器、情報家電機器などでは、DSP、FPGA、マイクロプロセッサといった情報処理用のICが多く使われている。これらのICでは消費電力低減、処理能力向上を目的として、動作電圧を低電圧化 (1.0V〜1.5V) し、負荷電流を増大させる傾向にある。これらのICでは処理タスクの有無により負荷電流が急激に増減するが、その時にDC-DCコンバータの出力電圧が変動し、電源障害が起こる場合がある。

その対策として負荷直近にDC-DCコンバータを配置する給電構成 (Point of Load;POL) を用い、かつ、多種多数の外付け容量を並列接続して、広い周波数範囲において低インピーダンスの電圧源を実現する方法が用いられるようになってきた。

このような状況に対応するため、負荷急変に対しても出力電圧変動が小さく、高周波領域まで低インピーダンスを維持できる、高速DC-DCコンバータの要求が高まっている。

そこで当社では、業界最高水準の過渡負荷応答性能を持つリップル検出制御方式を開発し、より少ない外付け容量でも必要電圧精度が得られる“リップルコンバータ・エクストリーム®”MPDRXシリーズを商品化した。写真1に外観を、図1に外形寸法を示す。本稿では“リップルコンバータ・エクストリーム®”MPDRXシリーズの特長と今後の展開予定について紹介する。

写真1: “リップルコンバータ・エクストリーム®” MPDRXシリーズ外観図

写真1: “リップルコンバータ・エクストリーム®” MPDRXシリーズ外観図

図1: MPDRX001S/003S 外形寸法

図1: MPDRX001S/003S 外形寸法

リップル検出制御方式について

リップル検出制御方式は、従来から一部用いられてきたリップルコンバータ方式を改良した制御方式である。リップルコンバータ方式は系の遅れ時間を利用して自励発振する方法で、応答性が良い特長を有するものの、(1) 出力容量にセラミックコンデンサを用いると動作周波数が著しく低下する、(2) 外付け容量有無により動作周波数が変化する、といった課題があり、これまで顧みられてこなかった。

リップル検出制御方式の原理図を図2に示す。従来最も一般に用いられているPWM制御方式では、出力電圧と基準電圧との差電圧を積分回路を用いて検出するため、原理的に遅延が大きい。これに対し、リップル検出方式では出力電圧を直接基準電圧と比較するため、応答遅れが非常に小さくできる。また電流リップル成分を検出して帰還電圧に交流結合させるムラタ独自の工夫により、従来のリップルコンバータでの問題点を解決している。

図2: リップル検出制御方式原理図

図2: リップル検出制御方式原理図

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特長

MPDRX001Sは、5V入力0.8〜1.8V/16A出力、MPDRX003Sは12V入力0.8〜1.8V/12A出力であり、いずれも33.0×13.5mmの業界デファクトフットプリント形状に適合している。表1に製品仕様を示す。

表1: “リップルコンバータ・エクストリーム®”製品仕様概要

  MPDRX001S MPDRX001S
形状 33 X 13.5 X 8.0mm
重さ 5g (TYP)
入力電圧 4.5V〜5.5V 10.8V〜13.2V
出力電圧範囲 0.8V〜1.8V
出力電流 16A 12A
静的出力電圧精度 ±2.5%
過渡負荷時電圧変動 ±40mV ±50mV
Vo=1.8V, Io=50% → 100%, Ta=25℃ Cout=100uF, di/dt=2A/us
出力リップル電圧 15mVpp (TYP)
Vo=1.8V, Io=MAX, BW=20MHz, Ta=25℃
変換効率 90% Vo=1.8V, Io=16A 88% Vo=1.8V, Io=12A
動作温度範囲 -40〜+85℃

負荷急変時の電圧変動が小さい

図3に負荷急変時の出力電圧変化を従来製品と比較した結果を示す。図3 (a) では外付け容量100ΜF時の電圧変動比較を示す。これよりMPDRX001Sでは従来製品と比較して負荷急変時の電圧変動が1/4以下に小さくなっており、ICの消費電流が急変した場合でも電源障害となる可能性が大幅に低くなることが分かる。また図3 (b) では、出力電圧変動が本製品と同じになるまで、従来PWM製品の外付け容量を増やした場合を示す。本製品では負荷急変時の電圧回復時間が1/5以下に小さくなっており、かつ実装面積を大幅に削減できることが分かる。このように“リップルコンバータ・エクストリーム®”MPDRXシリーズは、負荷変動の大きな用途に用いると大きな効果を得られる。

図3: MPDRX001Sと従来PWM製品との、負荷急変時電圧変動比較

図3: MPDRX001Sと従来PWM製品との、負荷急変時電圧変動比較

高周波数領域まで出力インピーダンスが低い

情報処理用ICでは、10Hz〜100kHz程度の周波数で負荷変動するため、この周波数領域で十分低いインピーダンスを保つ電源を使用する必要があると言われている。

図4に出力インピーダンスの周波数依存を従来製品と比較した結果を示す。従来製品では数十kHz領域で出力インピーダンスが大きくなっており、DC-DCコンバータの制御が応答できていないことが分かる。従来はこの周波数領域については、共振周波数の異なる複数のコンデンサ (例えばアルミ電解コンデンサとセラミックコンデンサ等) を並列接続することでインピーダンスを低下させていた。

一方MPDRX001Sでは、100kHzまで大きな出力インピーダンスの上昇は見られない。
これは低周波領域をカバーする電解コンデンサを排除できることを示している。つまりDC-DCコンバータの制御が追従できない高周波領域のみをセラミックコンデンサでカバーすれば、広い周波数範囲において低インピーダンスの電圧源を実現できることになる。

図4: 出力インピーダンス−周波数特性

図4: 出力インピーダンス−周波数特性

高効率

図5に他社高速品との効率比較を示す。MPDRX001Sは他社品よりも優れた負荷急変特性を持ちながら、高い変換効率をも維持していることが分かる。これは制御方式が本質的に高速制御であるため、数百kHz領域の動作周波数を使用できることが主たる理由である。

図5: 変換効率比較

図5: 変換効率比較

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まとめおよび今後の展開予定

DSP、マイクロプロセッサ等に代表される、低電圧/大電流/負荷電流変動の大きな用途に最適なリップル検出制御方式のDC-DCコンバータを商品化した。本製品を用いることにより、実装面積を削減し、電源障害を防止することができる。
今後は、モジュール形状、出力電流範囲、入力電圧範囲のラインアップを拡充していく。

※ 電波新聞第2部「ハイテクノロジー」 2005年9月22日号に掲載された内容を再構築したものです。

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